手造り真空管アンプの店




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店主コラム 2010年4月分〜6月分





2010年6月21日

<料理教室>
 先日初めて料理教室に参加した。ほぼ毎日料理はしているのだが、最近レパートリーの少なさからか自分で作る料理の味に飽きてしまっていた。私にとっての新しい味の料理を模索していた時、たまたまあるホームパーティーでアルポルトの片岡シェフを知ることになり、お話をしていたら男の料理教室なるものがあるから参加してみたらどうですかと勧められてすぐに参加の申し込みをしたら、上手い具合に当たり今回それに参加することになった次第である。この料理教室の先生方は一流のシェフ達で今回の担当は中華料理の「Wakiya 一笑美茶楼(イチエミチャロウ)」のオーナーシェフである脇屋シェフであった。トゥーランドットのシェフと言った方が分かり易いかもしれない。
 11時に銀座に集合ということで初めは少しどきどきしながら始まるのを待つのだが、周りの男性達は何か料理が得意なのか何故か落ち着いてみえる。いよいよ料理教室が始まった。初めての経験なのでどう進行していくのかも分からず話を聞くことにする。今回のメニューは「蒸し鶏の白葱ソース」「野菜いっぱい春巻」だ。シェフはこの二つの料理を同時進行で次々に作業を進めていってしまう。最初はあれあれという感じだったが次第に雰囲気にも慣れてきて、内容も落ち着いて理解できるようになる。料理のポイントをレシピに書き込んでいく。話は理解できるが全体の流れは正確には覚えられないまま、シェフの話は終わり、生徒が作ることになる。今回の料理教室は一人一人の生徒に対してすべてにレンジと作業場所が与えられる。だから他人をまったく当てに出来ずすべての工程を一人でこなさなくてはならない。通常の料理教室はそうではないらしい。二人に一人のアシスタントの女性がついて作業手順の指導はしてくれる。

 最初は鶏肉の仕込みから始まった。鶏の肉厚を均一に仕上げるために包丁で厚いところに切れ込みを入れて薄く延ばす作業だが、これは普段からやっているので難なくできた。シェフも見てくれて何にも言われずまず一安心。鶏肉は塩、コショウしそれをラップに包み、さらにアルミフォイルで包んで熱湯で茹でるという簡単なもの。これは順調に作業は進むが他の生徒さんの中にはさらに作業が進んでいる方もいて少しは焦ってしまう。次は春巻の具に使う野菜のカット作業に入る。野菜は筍・人参・さつまいも・干し椎茸・にんにく・生姜などを細切りにしていく。ここでちょっと心配だったのは使う包丁が中華包丁だったことだ。これまで使ったことがなくちょっと心配だったのだが、いざ使ってみたら切れ味鋭くそれなりに使い易い。2,3mm程度の細切りも問題ない。中華では本来野菜をスライスする時包丁は横に使って野菜を切るらしいのだがさすがにそれは出来ない。柔らかいものは刃先で切り、硬いものは手元の方で切ると良いらしい。意外と使い易い。野菜切りは得意なので丁寧にきれいに切れていった。途中シェフやアシスタントの方も見回りに来てくれて、きれいに切れているとお褒めの言葉をいただく。作業スピードは遅い方ではないが一番ではない。隣のテーブルの生徒さんは速い。そこで彼の野菜の切ったものを見たら、これがとんでもなく粗い切り方で5mmもありそうな幅の細切りで大きさもばらばらでこんなもんかと安心した。ここで初めて一息つけたといってよい。それ程皆さん料理レベルが高い訳ではなかった。
 その後の料理は余裕そのものだった。アシスタントの方やシェフのお弟子さんとおしゃべりしながら料理を進められた。そして無事2品が出来上がりお皿に盛り付けて試食に入る。ここでも盛り付けが面白い。私はシンプルにこれでも少しは上品に盛り付けたつもりでいたのだが、他の生徒さんをみると折角の料理を台無しにするような盛り付け(他の生徒さんごめんなさい)の方もいる。これを見ても普段料理をしているかどうかが直ぐに分かる。

味は自分で作ったものでも非常においしかった。蒸し鶏は簡単だが塩が効いた葱油がポイントでこれがプロらしくさせてくれるし、春巻も以外とさつまいもが効いている。春巻にさつまいもが合うかと思ったのだが、これが具を水っぽくさせず、しゃきしゃきした野菜を演出させている。また味付けも絶品でカラシ醤油を付けなくとも十分おいしい。ここらもプロの味であった。

これらの料理を持ち帰りその晩2品とも女房に食べさせたが当然ながら大好評であった。当然だ。一流プロの材料と調味料を使って作るので味はプロの味だからだ。これとまったく同じものは2度と出来ない。我が家では材料・調味料が違ってくるし、手順も正確に再現できないからだ。でも新しい味の中華料理を覚えたことは大きな収穫だった。

次回は「オテル・ド・ミクニ」の三國シェフのフレンチ料理教室だ。蹴飛ばされないように気を引き締めて臨もうと思う。

  

左:蒸し鶏の白葱ソース。蒸し鶏に葱油ソースがかかっている。トマト、パクチー添え。
中:野菜いっぱい春巻。上段は脇屋シェフが包んだもの。下段は私。味は同じでした。
右:脇屋シェフと私。




2010年6月11日

<新しい電源回路>
 今新しいアンプを設計している。今回のテーマは電源回路の見直しだ。これまでも電源回路は真空管アンプにはめずらしくメイン電源にはリップルフィルターや信号増幅段には定電圧電源(5つ)を搭載して、それなりに電源は配慮をはらってきたが実際電源インピーダンスを測ってみるとそれほど特性が出ていなかった。そこで今年のテーマとして電源回路を大幅に見直ししている。それも高圧(400V)電源のインピーダンスが測れるようになったことが大きく影響している。現在設計しているアンプは私のアンプの定番になっている全段プッシュプル構成で、差動2段の信号増幅段、出力段はUL接続のプッシュプル構成になっている。この基本アンプにさらに強力な電源を搭載するのが今回の目的だ。
 最初に見直ししたのが定電圧電源の見直しで、これまでの回路ではあまりインピーダンスが下がっておらず今回は回路の見直しとそこに使うトランジスターも変更した。よりhfeの大きなトランジスターを使うように変更した。5つの定電圧電源回路がありそれらをすべて改良した。150V電源は1KHz以下では約0.3Ω程度、370V電源は1KHz以下で1Ωを切っている。特性的には低域までフラットの特性をしているのでコンデンサーなどで現れる低域でのインピーダンスが高くなる特性はなく、より低域での効果が表れている。次に見直ししたのがリップルフィルターである。リップルフィルターそのものは難しい回路ではなく電源回路をちょっといじった方には作られた方も多いはずだ。ただ真空管アンプに使用するリップルフィルターで問題になるのが高圧(400V)で動作させる回路だ。通常使用時は回路のかかる電圧は数十Vなのだが、電源を入れた瞬間だけはいきなり400V近い電圧が回路にかかり、リップルフィルターに使用しているトランジスターが瞬間に壊れてしまう。そのためこの回路を設計する時にはトランジスターを保護するための電圧・電流リミッターが必要で、さらに電源立ち上がりの時定数の調整も必要になる。またトランジスターも電源投入時に耐えるだけの大きな耐電圧・コレクター損失が必要になる。ところが大きなトランジスターというのはhfeが低くなるという傾向があり、保護回路も強くするとインピーダンスが上昇する。だから安全性を高めると電源インピーダンスの性能が悪くなるというジレンマに陥る。今回はこのジレンマを解消するために電源投入時にソフトな立ち上がりをさせるための新しい回路を導入した。サイリスタ(SCR)を使ったソフトスタート回路(突入防止回路)である。SCRはゲートを持ったダイオードでこのゲート電圧を制御することによりダイオードの導通を制御できる素子だ。このゲート電圧は真空管整流管のヒーター電源に使われる5V電源を使用した。トランスの耐圧も問題ないし電圧も手ごろな値だ。今回このソフトスタート回路は電源投入時には数KΩの抵抗を通して電源が供給され約3秒後にSCRがONになり定常な電源が供給される。動作結果は良好でこれで電源投入時にリップルフィルターの負担がかなり減り、トランジスターの選定・回路の自由度が大幅に増した。測定結果も良好でリップルフィルターの出力インピーダンスは1KHz以下で約0.7Ωである。20Hzまでフラットな特性なのでこちらも低域での効果が大きく表れると期待している。20Hzで0.7Ωというのは10000μFのコンデンサーに相当する。
 今回設計しているアンプは非常に素性が良い。電源が良くなると動作も安定するのか。ほとんど手直しするところなく特性が出ている。これまでの私のノウハウも入れているがこんな素直に良い特性が出てくれると音が楽しみになる。だがまだ音は聴いていない。データの取得中なのだ。楽しみは後に取っておく。

 いつもアンプを造るとき、これが最高だと思っていても時間が経つとまた違うアンプが出来てくる。今回もまた音の良いアンプのひとつになる予感がしている。

 今回設計した電源回路。手前の右の基板がSCR使用のソフトスタート付きリップルフィルター回路の一部。左の基板が新開発2つの定電圧電源回路。
 ブロックコンデンサーを挟んで6つの電源回路が搭載されている。









2010年6月1日

<我が家の庭屋一如>
 昨日(5月29日)、NHKのTV番組でまた京都の別荘を紹介する番組が放送されていた。南禅寺近くの別荘群である。今年のお正月に初めてTVでそこが紹介され<庭屋一如(テイオクイチニョ)>という言葉を覚えた。私はこの言葉が気に入っている。意味は庭と住居が一体化した様をいう。この別荘群は数千坪の敷地を持ち、庭には池や季節の花木が植えられ、また家の縁側には柱がなく庭の景色を見るのに邪魔にならないように家が設計されている。そこまでして住居と庭を一体化して生活を楽しんだらしい。また庭の手入れも中途半端ではない。常に植木屋さんが365日手入れをしている。昨日のTVで映された映像では池を掃除するのに水を止め、たわしのようなもので広大な池の石を丁寧に掃除している。また縁側の脇に敷き詰められた石(那智黒のような石)は一つ一つ池の水でこれも丁寧に洗っていた。またある別荘では近くにある永観堂の塔を借景にしていて、それがきれいに見えるように木を剪定していると話をしていた。なんとも贅沢な話だった。だからこの別荘を管理するには大変な費用がかかる訳で、やはり所有者は代わっていくらしい。今回もある別荘はアメリカ人に売却されたと言っていた。

 こんな生活が当然我が家に出来るはずがなく、ただ生活の中に外の自然を取り入れるというのは、心穏やかにしてくれるものと思ってトライしている。我が家の今年の庭は結構元気が良く、この春はいろいろな花が咲いてくれた。シダレ梅、チンチョウゲ、ユキヤナギ、レンギョウ、ハナミズキ、シャクヤク、カルミア、ツツジと開花が続き自然を楽しませてくれている。今年はこれらみんな元気に咲き世話するのも楽しい。また下草も元気でフッキソウやコケも増えてきている。小さな庭なのだが花を育てると季節感が出て生活が楽しく感じられる。特に今年は庭屋一如をどうやって感ずるかを考えていたのだが、その方法としてこれらの花を数輪部屋で生けて楽しむことにした。ユキヤナギ、ハナミズキ、シャクヤク、カルミアなどを家で生けて楽しんだ。花屋さんで買ってくる花より愛着があり、また花も元気で長持ちする。つぼみの状態で生けてもそれが開花するほど元気なので長い間花を室内で楽しめた。

 昔の日本人は自宅で季節を楽しむのをきっと最高の贅沢と思っているのではないかと思っている。だから私もそれをトライしている。庭で採れた花を生けて楽しむなど現代の生活ではこれほど贅沢なことはないであろう。

 写真は我が家のシャクヤクを生けたもの。


昨日29日の朝日新聞の文化面に出ている話題から一つ。第14回手塚治虫文化賞の贈呈式が28日に行われたが、そこで<虫と歌>(講談社)で新生賞を受賞した<市川春子>さんは、女房のいとこのお嬢さんである。札幌市で出版社に勤務しつつ創作を続けている。ご本人にはまだお会いしたことはないが、お父様とはときどきお話をする間柄である。この受賞のお祝いをすると共に、ご興味がある方がいらっしゃいましたら是非読んでいただきたいと思っています。






 2010年5月21日

<mac導入記U> 
 無線LANが接続できたので次にmacのメールアカウントの設定を試みる。macのmailを起動すると最初アカウント設定プログラムがはしる。それに従って数値を入れてみる。ところがこのプログラムいつまでたっても動作が完了しない、何かを検索にいっているのだが完了しない。しばらくほっておくことにした。この間は庭の木の剪定をした。1時間以上たってもプログラムが終了しないのでキャンセルし、ボタンを押していったら別のメニューが表れVAIOのときと同じようなサーバーの入力項目が現れた。ユーザー名・受信サーバー・送信サーバーなどをVAIOと同じ感覚で記入してみた。そうしたら最初メールは送信できるが受信できなかった。受信サーバーの認識ができないようだ。コンピューターに詳しい友人にメールして意見を聞いたら、アカウント記入例のURLを送ってくれた。これが大変助かった。私が記入した文字列が間違っていた。Windowsとmacでは同じ受信サーバー名でも記入の仕方が少し異なる。この少し異なるのが大きな問題で何も受け付けてくれないからだ。改めて記入例を参考にしながらアカウントを作成した。そうしたらやっとここでmacの無線LANを使ってメールができるようになった。この時外は少し暗くなっていた。
 これでまずは最初の環境設定が済んだと思っていたら、まだ別の問題が発生した。翌日VAIOでインターネットを使用していたら突然アクセス出来なくなった。何故か分からない。macは問題なく、VAIOだけがアクセスできない。無線LANは動作表示しているが突然接続が切れてしまう。たまたま買ってあった電源付きUSBハブを通して無線を試してみたらまた動作するようになった。だがこんどはVAIOをスリープから立ち上げた時に通信がまたできなくなってしまった。いろいろトラブルが起こる。結論からいうとまず通信が不安定なところは再度無線LANのドライバーをインストールして安定になった。またスリープの立ち上げ時の問題は立ち上げ時に通信がまだ接続されていない時にアクセスを試みたので通信不能となったようだ。無線は有線と異なり立ち上げ時の接続に時間がかかる。時によりその時間が異なり5〜20秒くらいばらつく。この無線LAN接続のアイコンを確認してからアクセスすればOKだった。いろいろトラブルが起こるものだ。

さてmacbook proは順調そのものだ。速いし絵がきれいで満足している。昨年旅したスイス・フランスの写真をとりあえずmacに読み込ませスライドショウで楽しんでいる。自動でトリミングしたりサイズを変えたりしながら音楽と一緒に写真を見せてくれる。非常に楽しい。かつて20年位前デジカメを開発していた時、MOディスクに静止画と音楽を帯域圧縮して記録し、それを同時再生する電子アルバムも開発していた。ある時当時apple社の有名なエンジニアのビル・アトキンソン氏にこの同時再生のデモをした時のことを思い出した。当時はマルチメディアと言って最先端の技術だったのだが今は簡単にこんなことが出来てしまう。

 macではセッティングでまだしなければならないことがたくさんあるのだが、これを始めると数時間がすぐに過ぎてしまい仕事にならない。今はアンプの製作を最優先にしてとりあえずmacは少しお休みにしている。10年ぶりにmacユーザーにまた戻った。またこれからも楽しめそうだ。







2010年5月11日

<mac導入記T>
 やっとappleのコンピューターmacbookを購入した。今年の新年から導入を考えていたのだが、仕事ではすぐには使えないのでちょっと迷いみたいものがあったのだが、使うと楽しいそうなので導入をやっと決めた。女房も最近はiphoneのユーザーでそのユーザーインタフェースの面白さに惹かれmacに興味を持っているし、私も写真を整理したいので画面がきれいでソフトが充実しているmacが面白そうだからだ。macを我が家に導入するとこれまでのVAIOと併用になり、macを使うためには当然無線LANが必要と考えそれも導入した。
 普通パソコンの最初の使用環境設定はちょっと心配になる。今回も無線LANの設定とmacのインターネット接続の設定が心配になったが、これでもエンジニアの端くれとして一人で設定してみようと試みた。

 ある日の夕方女房とヨドバシに行き、macbook proと店員さんの勧めでBuffaloの無線LAN親機・子機を購入した。私は店員さんに機器の仕様の確認で頭が一杯なのだが、女房などはUSBハブの色がやだとか言っている。お気楽なものだ。翌日に一人でこれらの機器の設定を試みた。店員さんに言われたのは無線LANの設定ではVAIOはBuffaloのソフトを使って設定してもよいがmacは手動で設定したほうがよいとのアドバイスだった。理由は聞かなかったがまあそれに従うことにした。
 最初VAIOと無線LAN親機との接続を試みる。最初のインストールからうまくいかない。インストールがキャンセルされる。理由は分からない。とりあえず残りのソフトをインストールした。再度最初のソフトのインストールを試みる。キャンセルさせるがどうも直ぐにチェックプログラムみたいなものが働き大丈夫のようだ。その後ソフトの手順によって設定していく。最後まで設定がうまくいき無事完了。無線LANを動かしてみるとこれは無事に動いた。VAIOの無線LANが動いたのでmacの無線LANの設定を試みる。こちらはアドバイスに従い手動でやってみる。macの接続画面には受信できる無線名(SSID)が表れ、次にパスワードの要求がくる。このパスワードは何なのか分からない。このパスワードは以前雑誌で読んだ記憶がある通信の暗号のセキュリッティーキーではないかと推測した。無線LAN機に小さな紙が貼ってあってそこにSSIDやセキュリティーキーが書いてありそれを書き留めた。ここでミスを犯す。書き留めたコードをパスワードとして入れてみる。ところが受け付けてくれない。しばらくトライしたあと再度このコードを確認してみる。そうしたら数値の9を英語のgに間違えて書き写していた。老眼の私には小さくて見えない文字だ。再度試みたら今度は受け付てくれて、これでmacの無線LANは完了した。safariを動かしてみる。速い・きれい。ぐっと楽しくなる。ここで女房のiphoneも無線LAN対応にする。やはりパスワードを要求してくるがそれはセキュリティーキーを入れてみると無事開通した。これで我が家でiphoneを使うときアクセスが速くなった。

続く







2010年5月1日

<試食会>
 先週アステカの新メニューの試食会に参加した。初めての経験である。私はほとんど毎日料理を作っているので味見について少しは自信があった。私はあまりインスタント食品を使わないで、レシピを見ながら材料から調理する。だから味付けする時には自分の舌を信じて味付けするのだが、最近は慣れてきて普段よく作る料理などは味見しないで一発で仕上げることもできるようになった。旨みが足りないとか塩気が足りないくらいは分かる。
 そこで試食会に喜んで参加した。アステカのマスターが作ってくれた味の異なるいくつかの新メニューのコメントを言うだけだ。少しばかり責任も感じるが、出来上がりのコメントをするだけなので気が楽だ。さて今回の新メニューは仮称爆弾カレーと言うことだったが、実際出されたのはオムライスのようなメニューだった。少し辛い味付けのライスに薄焼き卵が乗り、さらに上にはケチャップの代わりにアステカカレーが乗る新メニューだ。最初はカレーなしのオムライスだけをいただいたのだが、これが結構辛い。この辛さから爆弾というネーミングを考えたようだ。その後マスターが更に辛さを増すためにメキシコの香辛料を用意してくれた。実はこの香辛料を付けて食べると辛さも増すが、旨みを増す。唐辛子のピクルスみたいな物で少し酸味があり、この酸味が辛さと合わせると旨みになる。この香辛料もミキサーで砕いたものと薄い輪切りにしたものとを一緒に試食したが、最終的には輪切り(唐辛子の輪切りのようなもの)になった。ちょっと変わった辛いオムライスになった。味は中にチョリソーも入っていて辛いのだが、旨みもありこれから暑くなる季節には食欲を増す新メニューになりそうだ。

 さらにこれに合うコーヒーの試飲も行った。これは断然インドコーヒーの相性が良くまったく迷うことなくこれも決まった。そのあと試食ではなくデザートの果物が出されたのだが、これも辛い料理にぴったりでおいしかった。甘みと酸味がありこれが口の中をさっぱりさせてくれる。カレーの後にヨーグルトを食べるのに似ている。後味が良くなる。マスターにこれを話したら新デザートも作ることになった。こちらも楽しみだ。

これが初めての試食会なのだが、別に新しい発見もあった。それはこの試食会に参加した人のなかに靴職人<れん>さんがいらした。一人で手作りの皮製品を作っている。靴、バッグ、小物などを作っているらしい。それも同じ横浜市金沢区で一人で手造り製品での商売をしている職人さんだ。私と同じような方である。持っていらした皮のコイン入れを見せていただいた。かわいい出来上がりだ。名詞を交換してサイトを見せていただいたら、他にもきれいでかわいい製品を作られている。サイトの出来もすばらしい。こんな職人さんが近くにいるなんて私も元気づけられた。今回リンクに<Leather Craft Coro.>を追加しました。覗いて見てください。
 アステカのマスターも靴職人<れん>さんも私も一人で頑張っている。だから時にはお互い協力して商売を盛り上げていかなければならない。

 アステカの新メニューは5月1日からです。新メニューのネーミングは<華麗なオムライス>です。こちらもよろしく。





2010年4月21日

<土佐弁>
 今年は龍馬ブームである。NHKの大河ドラマの影響で人気が高いようだ。そういう私もこれまで大河ドラマはあまり見ていなかったのだが、今年は良く見ている。龍馬ファンは沢山いそうだ。やはり司馬遼太郎の「竜馬がゆく」が傑作だからか。(本のタイトルでは竜馬となっていました。)
 そんな中女房がたまたま高知の友達に会いに土佐に行ってきた。もちろん桂浜の龍馬像も見てきたようだ。写真でみると龍馬像はかなり大きい。今年は脇に臨時の足場が建ててあって龍馬の顔が同じ目線で見られるようにしてあるとのことだ。
 土佐人にとって坂本龍馬は弘法大師と同様地元の英雄のようだ。龍馬は地元では「龍馬さん」と親しみを込めて言われているらしい。地元の人によると「TVの龍馬さんは土佐弁が上手だけんど弥太郎はどうしてあんなにきたないのかねえ」ということらしい。TVの龍馬の土佐弁は地元の人でも違和感なく受け入れているようだ。実際TVでこんなに土佐弁を耳にするのは初めてではないだろうか。時代劇ではあまり地方の方言は普通出てこないのだが、今回の龍馬は土佐弁の会話が確かに多い。画面の作りも少しデフォーカスしたフィルムのような雰囲気で撮影されていて時代劇の感じが良く出ている。TVでは何の気なしに土佐弁を聞いていてそれなりに会話は理解できるのだが、実際女房が土佐の地元の会話を聞くとまったく理解できないらしい。女房が土佐からの帰りに高知空港にあったという<簡易土佐弁辞典>という小冊子を買ってきた。これがたいへんおもしろい。土佐弁にはまったく聞いたことのない表現がたくさんある。またTVで聞く土佐弁には決まった方言が良く出てくる。それらのいくつかを<簡易土佐弁辞典>で紹介すると、

・ぜよ  かつて「なめたらいかんぜよ」という台詞が大流行した。「ぜ」も「よ」も念を押す意味の助詞
 けんど TVの台詞に良く出ている。「が」とか「しかし」の意味。
 ・き  「から」「ので」 「寒いき、上着を着る」→「寒いので、上着を着る」

などもっと土佐弁は沢山TVでは使われているのだが、直ぐには思い出せない。

 女房が土佐で面白い土佐弁を聞いてきた。その土佐弁は「ざっとしちゅう」という言葉。意味は「無責任な」とか「粗悪な」という意味。英語みたいな発音である。これを人に使うとき、言われた人は人物的に良くない人ということらしい。物に使う場合は不良品となるようだから、「あの製品はざっとしちゅう」といわれたら終わりだ。
 だから「MYプロダクツの製品はざっとしちゅうだ」と言われないようにしなければならない。<簡易土佐弁辞典>を読んでいたら別の面白い言葉をみつけた。
 土佐弁で「ちゃがまる」といい意味は「(機械などが)故障する。予定していたことがだめになる」ということらしい。この言葉の音が面白い。こちらも「MYプロダクツの製品はよくちゃがまる」と言われないようにしなければならない。

 これまでTVで方言にこれほど反応したことはない。それだけ<龍馬伝>が面白いということか。







2010年4月11日

<電源改良と音質>
 このところこのコラムには電源インピーダンスの測定について書いている。最近私の仕事の大半がこの電源についての検討だからどうしてもコラムがその内容になってしまっている。だから技術に興味ない方にはまったく面白くない内容になっている。今回もまた電源の話になってしまった。少し内容を変え電源の性能アップがどう音質に影響したかを述べてみたい。
 電源インピーダンスの測定を実験機でもある6550ppにも試してみた。このアンプはアダージョを設計する前に実験用として回路の検討などに使用しているアンプだ。今回も電源回路の実験機として使用した。このアンプは電圧増幅段にトランジスターによる定電圧電源を搭載している。初段(160V)と2段目(400V)と別々の定電圧電源を使用しているのでそれぞれ電源インピーダンスを測定した。160V系の電源インピーダンスは100Hzで130Ω、400V系の電源インピーダンスは100Hzで250Ωと思っていたより性能が良くない。100Hzで120Ωというのは10μFのコンデンサとほぼ同じインピーダンスで、直流的には変動が少ないが定電圧電源としては交流インピーダンスがあまり良くなかった。原因としては使用している高耐圧トランジスターの電流増幅率が思っていたよりも実際は少なかったようであった。電源インピーダンスが測定できるようになって初めてその性能が分かった次第である。
 そこで手持ちのトランジスターを使用して電源の改良を試みた。電流増幅率を上げるためにダーリントン接続、定電流負荷、位相補正の変更など施しながら測定を続けた。結果160V系電源は1.2Ω(100Hz)、0.9Ω(1KHz)400V系電源は3Ω(100Hz)となり、オリジナルの設計より実に1/100もの性能アップができた。もっとトランジスターを選べば性能は上がるので、今後はトランジスターの選択が重要になってくる。ただ私のような個人事業では特殊なトランジスターは入手できないので、どこかで妥協しなければならないかもしれない。

 さてここからやっと本題に入る。このように電源インピーダンスが1/100も性能アップしたら音はどのように変化したのだろうか。皆さん一番興味があるところと思う。
 私の感想ではまず聴感上のS/Nがさらに良くなった。次にこれはどのように表現して良いのか分からないのだが、音の臨場感が良くなったように感ずる。スピーカーの存在がなくなってきたというか、音像がスピーカーの間にきれいに浮き上がるようになった。ボーカルなどを聴くとまったくスピーカーの存在がなくなってしまう。ステレオフォニックってこんな音像が出来るのかと初めて感じたくらいだ。マルチチャンネルは必要ないと思うほどだった。
 何故電源の性能がこのような聴感に影響するかは分からない。低域、高域がどうのこうのというより、音像の問題に影響した。初めての経験だった。
 最初電圧増幅段の改良でここまで変化するとは想像できなかった。このアンプは差動2段になっているが、真空管差動増幅器でも電源の影響は大きいことは分かった。

 アナログ回路は面白い。いじると性能が上がり音も向上する。どこが到達点か分からず永遠の道が続いている。







2010年4月1日

<電源インピーダンスの測定U>
 前回に引き続き電源インピーダンス測定の話。前回のコラムでは真空管アンプの電源インピーダンスを測定するのは難しく、まだうまく測定できないということを書いた。今回それが進展し、測れるようになった。ただしインピーダンスが100mΩくらいまでで、それ以下の場合は治具の改良が更に必要になる。電源インピーダンスを測定するには電源回路に流れる電流とその時発生する電圧を測定しなければならない。電流測定はフローティングされた電源の電流を測定するのではなく、負荷側の電流を測定する。電圧は抵抗分割で1/10程度に下げて測定した。この時この分圧抵抗と測定プローブにより高域で周波数特性が落ちてしまうのだが、それにはこの分圧抵抗に微分回路をいれて高域を補正した。この方法での周波数特性は100kHzで−0.5dB程度で収まったので測定での周波数特性はほぼ問題ない。ここで測定方法を説明するのは難しいが、とにかく100mΩ程度以上までは測定できるようになった。
 そこで今は定電圧電源やリップルフィルターのインピーダンスを測定している。これが非常に面白い。というより思ってもみなかった現象を発見したり、これまで電源の特性が十分追い込まれていないことに幾分自分自身に腹がたったりしている。いつも設計している時は完璧と思っていても、後で振り返るとああしておけば良かったとなる。今回も同じだ。

 昨年ノイズ測定でも治具回路を作成してノイズを測定した。今回も電源インピーダンスを測定するために治具を作り測定している。アンプ設計には遠回りのように思えるが、このようなある現象を突き詰めていくことが時には必要になる。アンプ回路の本質が見えてくるし、人には気づかない現象も見えてくる。今回も新しい発見が出ている。今回の電源インピーダンス測定の検討は回路を定量的に評価できるのでそこが大きな進歩になる。電源回路方式、インピーダンス測定、音による確認これらの行為が一体となり、真空管アンプにおける電源回路というのが把握できるようになる。やはり数値(データ)と試聴の関係はできるだけクリアーにしておきたいところだ。
 今回の測定で当然新しいアイデアが出てくる。以前から考えてきた新しいリップルフィルターが楽しみになってくるし、定電圧電源も特性アップをしなければならない。どんな音に変化するかが楽しみだ。すでにメヌエットでの実験では試聴での効果は確かめてあるので期待できる。

ちょうど今ご注文いただいたお客さまには少し時間をいただいている。先に電源の検討を行い、新規設計のアンプには新しい電源回路を搭載したいからだ。次に出来るアンプはきっと更に進化したアンプになるに違いない。








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