オーダーメイド手造り真空管アンプの店

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<’10今年を振り返って> 
 2010年12月21日 
 2010年最後のコラムです。この時の過ぎる速さは何なのだろうか。昨年も同じタイトルでこの時期にコラムを書いているが、ついこの間のような感覚だったのだが、もう一年が過ぎてしまったのだ。今年、私には進歩があったのだろうか。ちょっと振り返ってみたい。
昨年の今頃のコラムを読むと今年は電源の検討をしようということになっている。実際電源の検討は行った。ただまだレポートを書ける段階になっていない。ではどの程度進んだかと言えば、一番の進歩は高圧電源のインピーダンスが測れるようになったことである。真空管アンプは通常100Vから500Vくらいの電圧で動作する。この高圧電源のインピーダンスを測ることは結構難しい。高圧直流電圧に重畳されている微小交流電圧を測定しなければならないからだが、どうしても耐圧の高い測定用アンプが必要となりそれが測定を難しくしていた。今年の結論から言えば一番簡単な抵抗分割で測定するのが一番良い方法と考えている。微分回路を挿入すれば100KHzくらいまでの測定は可能だからだ。この方法によりMYプロダクツのアンプの電源は性能が格段にアップした。これまで電源のインピーダンス測定をしていなかったが、それができるようになったお陰で性能が格段に進歩した。世間の真空管アンプで電源のインピーダンスを測定して設計しているメーカーはほとんど皆無と思われるので、ここでの差別化も出来る様になった。今年の進歩ではまずは定電圧電源の進歩。性能は10倍以上良くなったし、音もクリアーで音の立ち上がりが良くなった。またメイン電源もリップルフィルターの性能アップとソフトスタート回路が出来、良くなったがまだ測定では満足していない。リップルフィルターは電源リップルが少ないのでインピーダンスが測定できるだが、従来のチョークトランスを使用したπ型フィルターではリップルが多くインピーダンスが上手く測定できていない。特性もリップルフィルターの方が良いのだが、チョーク方式との差を測定できていないのが今の状況だ。
 もうチョークを使う意思はないのだが、それでも測定での明白な差を求めて測定法をまだ探している。そこまでする必要はないかもしれないが、音が全てで裏づけ無しに事を済ませてしまうのは納得できないでいる。こんな性格だからなかなか仕事が進まないのかもしれない。

今年の結論としては電源の進歩は確実にあったといえるが、唯一つ気がかりなのがチョーク方式の電源回路との性能の差がまだ測定できていないことにある。結果(音)が良ければ全て良しとすれば事は済むのだが。

皆さん良い年をお迎え下さい。MYプロダクツはユニークで真面目なアンプ造りにまい進していきます。来年も宜しくお願いいたします。

 
<コラム> 
 2010年12月10日 

今日はあまり書くテーマが見つからず困っている。10日毎にこのコラムを書くようにしているが、時々書くテーマが見つからず難儀する。今回はそれに当たっている。これは現在の仕事状況にもより、面白い仕事をしていればたくさん書くこともできるのだが、そんな面白いことはいつも続くこととは限らない。 今日は今朝(12月10日)の朝日新聞の記事から題材を拾うことにした。

朝日新聞の私の視点という記事に「嫌われてもオレ流 父の寡黙な仕事を愛する」というタイトルの投稿が載っていた。有名人の書く投稿記事である。著者は<コラムニスト 落合福嗣>とある。そうこの著者は中日ドラゴンズの落合博満監督の息子さんである。何とコラムニストという。最近結婚したという記事を見たような記憶があるが、まだ大学生だったように覚えているが、まあコラムニストと名乗っている。記事の内容は父である監督はどうもあまり人気がなく、寡黙でまた少ない発言が曲解されそれが誤解を招いているが、実際には冗舌で気さくが人間だ。世間がどう言おうが、父は勝負の結果が全てでその為に頑張っているので、人気が無くても父の寡黙な職業仕事を愛し続けたいという内容だった。

これはいくつかの点で面白い内容だった。
監督の不人気に対する意見を本人でなくその息子が反論している
私の視点という大朝日新聞の記事に比較的個人的な内容を載せている
昔福詞君はやんちゃな子供のイメージしかなかったが、今はコラムニストとしてりっぱな文章を書いている(失礼)

などちょっと毛色の変わった内容だったので面白かった。個人的には落合監督は嫌いでなく、職人肌の人はどちらかというと好きなほうだ。まあ野球の天才達長島にしても、イチローにしても彼らの話は理解しにくいところがある。彼ら独特の感性でものごとを捕らえていて、僕ら凡人には理解を超えるところがある。落合にしてもそんなところがあるから、誤解されるのだろう。恐らく監督本人は世間が何を言おうが気にしていないのだろうが、息子にとっては人気が気になるところなのだろう。

最近ツイッターという呟(つぶや)きが流行している。内容はどうであれ本人を理解する上で役にたつだろう。人は黙っていると理解されない。言わないと気持ちは伝わらない。落合監督もツイッターでもすればもっとファンが増えるかもしれないが、職人気質の彼にはできないであろう。

私のこのコラムもアンプ設計者を理解してももらうために書いている。しかし限られた能力で書き続けるのはしんどいことだ。時々誰か書いてくれないかなあ。

 
 <アナログ復帰>
 2010年12月1日 

しばらく続いたホームページのリニューアル作業をやっと終えた。最後に残っていたSEO対策(検索エンジン最適化)作業も終わりこれでとりあえずこの作業を終了した。
 初めてホームページを作ったときには、まずはページを作ることに専念したためSEO(Search Engine Optimization:検索エンジン最適化)などという言葉も知らなかったのだが、いざリニューアルをしてみたら、このような技術があることを知り、何とか対応してみた。完全ではなくまずは最低限トライしてみた感じだ。これは特にグーグルでの検索結果が上位に表示されるような対策をした。グーグルの検索エンジンはいつも世界中のサイトを調べているようで、このエンジンに必要な検索情報をこちらから送り、検索時に見つけられやすいようにしている。実際にこの対策の効果が表れるのは直ぐではなく、検索エンジンが作業に当たるときに反映されるため、数ヶ月かかることもあるようだ。グーグルにサイトの登録をしておくと、サイトの検索状況などが分かるようになり、誰がリンクを張っているかも分かる。私が自分のサイトの検索をしてみると、一部今回の対策が表れているところもあり、少しは効果があったようだ。これからも楽しみになってきた。


 前から気になっていたホームページのリニューアルが終わり、またアナログの世界に復帰する。一つは今年のテーマになっていた電源回路の検討のまとめをしようと思っているのだが、まだ結論を出すまでのデータが足りず、このデータ収集作業をまた再開しようと思っている。二つ目はEQ(イコライザー)アンプの検討だ。こちらは、ひょんなことからクラシックのLPをいただけることとなり、この盤を再生するためにEQアンプを作ってみようと考えていて、その構想に入った。今構想しているのは、真空管EQアンプでは珍しいpp(プッシュプル)型の回路にしようと計画している。入力段を差動増幅にした構成を考えていて、ノイズは少し不利になるがそれでもMM端子の入力換算で-125dBV位は実現できそうな気がしている。まだ頭の中だけなので細かい計算はしていないが、これができれば私のシステムはEQアンプ、ラインアンプ、パワーアンプすべてpp構成で真空管アンプでは珍しいシステムが完成することとなる。

 ソフトにしてもアナログ回路にしてもその作業をしてそして完成すると楽しい。しかし私の場合圧倒的にアナログ回路の検討のほうが面白い。それは新しいアンプが出来た時、それがどんな音になったのだろうかという、五感(一感?)に訴える期待が待っているのが断然楽しい。LPがどんな音で再生してくれるのかを目標にいろいろ悩みながら作業を進めていくのが、私には本当に楽しい時間なのだ。

 
<ホームページリニューアル>
 2010年11月21日 

数日前にこのホームページをリニューアルした。早速友人からは以前より読みやすくなったというメールをもらった。もっとかっこいいサイトにしたかったのだが、私のセンス・技術ではここまでだった。しかし読み易くなったことはリニューアルした効果が出たわけで正直うれしい。

 今回のリニューアルは最初なかなか進まなかった。まずページデザインをどうするかが決まらない。いろいろなサイトを参考にしながら、いくつかのトップページを作ってみた。最初、画像の自動切換えなどもやってみたのだが、これは以外と読み手をいらいらさせることもあると気が付き採用を見送った。画面の動きや音というものは効果があるようにみえるが、私などは逆に瞬間に内容が分からず、また動作がいらいらさせる時がある。だから最初ページを見た瞬間に何のサイトなどか分かるようにシンプルな構成にした。次に文字などもこれでもいろいろテストしてみた。問題なのはホームページビルダーで作った文字フォントはWindowsとMacでは異なって表示される。大きさもフォントも異なってしまう。文字化けしないだけでも良しとしないといけないのだが、このフォント問題もまだ解決しないまま進んでしまった。今後もいろいろ試してみたい。

 サイトの内容は昔とほとんど変わっていないのだが、大分読みやすくなったと思う。まとまった文章を表の中に入れ、その中で内容が完結しているので文章のまとまりが分かり易くなったのと、視覚的にも色分けして内容をまとめるようにした。最大の変更はコラムである。これまで書いたコラムが大分沢山たまってきたので、コラムの表題からすぐにその内容に飛べるようにリンクをつけた。過去のコラムをどれだけ読む人がいるかは分からないが、初めて訪れるお客さまには少しは役立つであろうと考えている。

 このサイトはまだ完成していない。ホームページがグーグルの検索エンジンの上位に表示させる技術があるようなのだが、まだこれができていない。まだ内容も良く理解していないので、調べながら進めていく予定だ。

 直接プログラムを書く訳ではないが、ホームページの仕組みを作るソフトウエア技術をある程度理解しなければならず難儀している。若い人に頼めば簡単に済むようなことなのかもしれないが、年寄りの好奇心でまだ進めている。


 
 
 <ハイエンドショウ2010>
2010年11月11日 

毎年、この季節になると(今年は少し遅い開催だったが)またハイエンドショウ2010を見学・試聴してきた。普段お店でゆっくりと高級オーディオの音を聴くことができないので、この時を狙って普段聴けない音を楽しむために毎年行く。今年はオーディオ仲間が都合で行けなかったから、一人でゆっくりと楽しんできた。もう毎年聴いているので、特に感動するようなことは少ないのだが、それでも自分の設計するアンプの音が世間の高級オーディオの音と比べて間違った方向に行っていないかなどを確認している。毎年聴いていると、好みのメーカーの音などは決まってくる。面白いもので特にスピーカーなどは好みがはっきりして、毎年同じ印象を持って帰ってくる。ちょっと不思議な気がするのだが、新製品が出てもその好みが変わらないというのは面白い。

私はクラシックが好きで、スピーカーの好みがはっきりしている。音を聴いたとき、何が聴いていて気持ちが良く聴けるかを考えると、演奏がスピーカーの間の空間にきちんと位置するのを好む。スピーカーの配置なども影響するのだが、それでもスピーカーによって大きく印象は異なる。スピーカーの指向性の性能も大きく影響していると思われる。低音、高音という前に音場を優先している。
 次は余韻・響きを楽しむ。楽器の演奏には必ず余韻がある。部屋で演奏している限り響きがある。これが再生されると心地よい。これらの余韻・響きはソースにすでに含まれていて、これらが忠実に再現されるという意味だ。だからダンピングが効いていない緩い音という意味ではなく、むしろダンピングは効かせておいて、ソースに録音されている余韻・響きを忠実に再現させてほしいという意味だ。ここはアンプもスピーカーも高度な性能が要求される。どんな激しい音の中にも小さな余韻を再生させなければならない。アンプでいえば高SN、低歪、高DF、強力電源が必要で、音楽の再生での動的状態(スピーカーのインピーダンスが周波数によって大きく変化する)でも破綻のないアンプが必要となる。

このようなショウの後は、必ず我が家の音を確認したくなる。ショウでデモする何百万もするスピーカーには低音では到底敵わないが、音のたたずまいとか品格ではそれほど負けていないなと自分勝手に思っている。それでもまだ改良してみたい点もみつかり、次のテーマとして考えている。

 
<ピアノコンサート> 
 2010年11月1日
 先週久しぶりにピアノコンサートを聴いてきた。演奏者はマウリツオ・ポリーニだ。場所はサントリーホール、席は2階席の後ろから2番目というあまり良い席ではない。予約が遅かったのでしかたがない。

ポリーニが大きな拍手で迎えられる。スポットライトをあびたピアノに少し背を丸めたような歩き方で向かう。ピアノの脇で観客席に何度がお辞儀をすると椅子に腰掛ける。そして椅子にすわると一呼吸も入れず直ぐに演奏が始まった。曲目はベートーベンピアノソナタ第30番だ。この演奏の始まるタイミングが早く、こちらも焦る。直ぐに演奏はマキシマムになる。かなり後ろの席で聞いているがその音はすごい迫力でせまる。低音はうなるようにせまってくる。高音もその低音に負けずきれいで、力強い音で響いてくる。これが超一流の演奏家の音なのだ。CDで何度もポリーニのこの後期ピアノソナタを聴いているが、生演奏の音の力強さは圧巻だった。
 こんな力強い音を出しているのに、演奏者の上体はまったく動いていない。背筋をまっすぐ伸ばし、上体をゆすらず、遠くで見ていると本当に演奏しているのか、見間違うほど静かな姿だ。時々ペダルに置いた右足をペダルから離して椅子の下辺りに動かす程度だ。しかしピアノから発せられる音楽は、音に芯があり、ある時には柔らかく、力強く、激しく様々な変化を聞かせてくれた。特に低音部の大波がうねるようにして押し寄せてくる音はピアノの表現のすばらしさを伝えてくれた。超一流の演奏とはまこと素晴らしいものであった。

ちょっと気取って演奏会の様子を書いてみました。ポリーニの演奏は素晴らしいものだった。演奏前には、ある友人からポリーニも昔ほどの演奏は期待できないとも聞いていたが、私には今回の演奏でも十分感動を味わってきた。表現力の多彩さがすばらしい。今回の演目がベートーベン ピアノ・ソナタ第30、31、32だったので、曲にドラマチックな変化が多く、ポリーニの表現力がそれをまた増幅させてくれて、まったく最初から最後まで飽きることなく(失礼)こちらも緊張して、また満足して聴いてきた。
 音楽性については十分楽しんできたのだが、音響的にもっと前の席で聴きたかった。私の席がかなり後ろなのに、これだけ迫力ある音楽が聴けたのだから、近くで聴いた方はもっとすばらしい音を聴けたのではないかと思う。特に高音のアタック音はもっと激しい音でなかったかと想像している。もっとダイナミックな音を聴けたのではないかと思うが、予算に余裕はないし、ここらは諦めるしかないのか。

久しぶりの一流演奏家の演奏を聴いて満足してきた。やはり一流プロというのは神業の人達だ。3月のヒラリーハーンの演奏チケットも手に入れた。また楽しい演奏が待っている。

 
<能管>  
 2010年10月21日

「ヲヒャラヲヒャヒュイヒヒョイウリ」これ何だと思いますか。実はこれは能管(のうかん)の楽譜です。これらの文字に対応して運指(指使い)が書かれている。この歌のような言葉に合わせて運指を行う楽譜になっている。旋律を言葉に置き換え、それに指を対応させてメロディーを作っていく感じだ。

 女房がこの能管を習い始めた。ほとんどの方は能管について知らないだろう。私もこれまで知らなかったのだが、能管とはお能で使う横笛のことである。竹でできた横笛なのだが、日本の横笛もいろいろ種類があるらしく、祭囃子(まつりばやし)で用いられるのは篠笛(しのぶえ)と呼ばれるもので、能管とは別らしい。能管の特徴は歌口と最初の指穴の間に<のど>と呼ばれる竹が挿入されていて、そのためきれいな共鳴した音にならず甲高い音色になっているらしい。
 何故女房が能管を始めたのかは分からないが、きっかけはあった。今年の3月に友人のホームパーティーに呼ばれ、そこでこの能管を習っている方と知り合いになれた。この方は女性で、人間国宝の先生にこの能管を習っているということで腕もかなりらしく、舞台に立つこともある方である。パーティーでは能管の演奏は聴けなかったが、謡(うたい)を披露してくれたのだが、それもすばらしく女房はこの方に弟子入りしてしまった。ところで私はこの時出会ったアルポルトのシェフの紹介で男の料理教室に参加することになったのだが。

 能管の音は甲高くて練習の音を側で聴いているとキーキーする音で最初気になる音だった。フルートの音を想像していたらまったく異なる。能管が何故こんな音の出しにくい楽器になっているのかは知らないが、<のど>による甲高い高音がお能の音楽として意味があるのだろう。女房の練習の音を聴いたり、またCDで能管の曲を聴いてみたが、こちらも音程が少し不安定であるので気分の良くなる音楽ではないと思っていた。ところがもっと良い演奏を聴こうということで、人間国宝<藤田大五郎>の演奏を聴いたら、これはまったく別もので、音は柔らかく、音程も安定で気分の悪くなる音楽ではまったくなかった。さすが人間国宝の音と感心してしまった。

最近は女房の音にも慣れ、それ程気にならなくなってきた。フルートの教則本を参考にして唇の形を変えたりして音も大分出るようになってきた。でもゴールは大分先になるようだ。
 我が家の周りでは楽器の練習の音が聞こえる。ピアノ2軒、バイオリン、ハープ、サックスなどが聞こえる。誰も苦情は無いようだから皆さん時々練習していて、聞こえてくる。我が家から発する能管の甲高いヒシギ音は大丈夫なのだろうか。

 
<ソフトウエア>
 2010年10月11日

 真空管アンプの設計はアナログ回路の基本みたいなもので、アナログ回路の性能を突き詰めていくのが仕事である。特に私のような個人事業で真空管という素子を使うという仕事においてはソフトウエアというのは対極にある技術にあると思っていた。しかしながら最近このコラムを発表しているホームページを少し改善しようとしたら、最新の技術を使ってサイトを直していくにはある程度、ホームページを作る言語・技術も知らなければ、きれいなあるいは効果のある画面ができないことが分かり、これはホームページを作る技術(ソフトウエア)も勉強しなければならない必要が生まれてきた。さらに真空管アンプにおいてもちょっと半導体ボリュームを使って、プリアンプ回路の実験をしようとすると、どうしても1チップマイコンが必要になり、素子の選択やソフト開発環境なども調べなければならない事態になっている。

 ホームページの改良にしても1チップマイコンの使用にしてもソフトウエアの知識が必要で最近はこれを少し調べている。ソフトウエアの経験は昔あり、アセンブラやC言語でのプログラム開発は経験ある。しかしながらこれらは15年以上も前までのことで、今はほとんど細かいことは忘れている。今回の資料調べでもデジタル回路の端子の動作をすぐに思い出すことができず、デジタル素子の資料を読むにも、動作のタイミングを読むにしても時間がかかっていて、昔ならとちょっと情けない。
 ホームページの製作はホームページビルダーを最新のものにバージョンアップしてみた。ところがそれだけではきれいな画面をつくることはできないことが分かる。それは私がいろいろなホームページ製作の技術を使いこなせないからだ。今はCSS(Cascading Style Sheet)やJavaスクリプトなどをかじっているがまだ理解できていない。まだ先が長そうだ。

 ソフトは高度になり、画面の表現もきれいになってきているが、それらの技術を使いこなすのは苦労する。少しずつ遊びながら確かめている。Javaスクリプトもソフトを書き直すだけで直ぐに動く。コンパイラが必要ないので面白いといえば面白い。
 1チップマイコンは現在では個人でもかなり使いやすくなっているようだ。元の会社の先輩に尋ねたり、また先日秋葉原に行ったついでに若松通商の店員さんに聞いたのだが、アセンブラ、コンパイラは無料で入手できそうだし、ROMライターも簡単に入手できそうだし(作るのも簡単だそうだ)こちらは全体像が見えてきた。しかしいざ回路を組んでソフトを作るとなると、これまたいろいろ小さな約束事をきちんと守らなければならず簡単には進まないだろう。

 どちらもアンプそのものの本質とは離れているが、一人で設計するとなると全て自分でこなさなくてはならないから、このような技術も自分で習得しなければならない。いつ出来るか分からないが、しばらくはソフトとの格闘が続くようである。

 
<ゼロ・ポジション>
2010年10月1日 

 今年5月ころから肩痛に悩まされている。五十肩である。私は毎週テニススクールに通っていて、この生活を27〜8年続けている。土曜日の午前がテニスの時間で、これは生活の一部になっている。五十肩は5月に急になりだし、その時はテニスのバックハンドが打てなくなるし、サーブも打つと肩が痛くて強く打てない状態であった。実はこの五十肩は2度目である。6年前にも肩を痛め、サーブが打てない状態が続いた。この時はバックハンドが打てない程でなく、自己流のストレッチで何とか直してきたのだが、今回の肩痛は以前より悪い。5月に急に痛くなりだし、その時サーブを改めて教えてもらおうと思っていた矢先に痛くなりだしたので、サーブの個人レッスンはあきらめた。それでもテニススクールには通い、弱いボールを打ってごまかしていた。さすがに今回の痛みは以前とは異なるので整骨医のお世話になった。
 整骨医にお世話になるのは初めてである。最初はどのような治療を受けるのか不安もあり、恐る恐る尋ねたのだが、実際今の状態を考えるとこれが良かった。整骨医での治療は患部を温めたり、電気を筋肉に流して強制的に筋肉を動かしたり、先生によるマッサージを受けている。またついでに右足に少し痺れがあったのだが、これも治療を受けている。軽い挫骨神経痛のようだ。こちらは骨盤が平行でなく右足に体重が乗っているのが原因のようだ。だから肩と腰の治療を受けている。

 今まだ治療中なのだが大分良くなってきた。普段の生活ではほとんど痛みはない。テニスの後痛みが残るくらいだ。これがなくなれば完璧なのだがまだそこまで至っていない。治療の効果は十分認められるのだが、今回の治療で私もいろいろ学んだ。まずは普段からストレッチの大切さを学んだ。コンピューターの操作や半田付け、テニスのサーブなど右手、右肩の使用が多く、肩甲骨の硬さが五十肩に繋がっていることを学んだ。背中の筋肉が硬くなっているのだ。またサーブのフォームを変えてみようと思っている。いままでのサーブだと右肩の負担が大きいので体全体で打つフォームにしようと思うのだが、まだなかなか上手くいかない。腰についても股関節の矯正とストレッチを家でしている。長年の姿勢の癖を直すのは容易ではないが、痺れが取れるのは気持ちが良い。

 また整骨医の先生から良いことを教わった。先生は元高校球児だったそうで野球に詳しい。先生が言うには野球の投手が投球するときのテイクバックで、一番肩の負担が少ないフォームというのは肘の高さが肩と同じで、肘の角度が直角にして投げるのが良いフォームだそうだ。この肘の位置をゼロポジションと言うらしい。このゼロポジションができれば、肩の負担が少なくてサーブも良くなるはずだと言っておられた。その後テニス雑誌でサーブのフォームの解説を読んだら、正にサーブのテイクバックはこのゼロポジションが理想であると書いてあり、フェデラーの写真が載せてあった。私は少し肘の位置が低い癖がありそれが肩に負担がかかり易くなっていたようだ。

 整骨医の通院は初めてで、やはり年齢には敵わない。最初はこわごわだったのだが、痛みが和らいできた現在は私のオアシスになっている。

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