オーダーメイド手造り真空管アンプの店

<お見舞い> 
 2011年3月21日 
  このたびの東日本大震災により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

不要不急のアクセスを減らし、ごく僅かかもしれませんがPCの節電に協力するため、このコラムはしばらく休止させていただきます。
宜しくお願いいたします。


 
<回路計算> 
 2011年3月11日 

アンプ回路を設計する時、回路定数を決めるのに何らかの計算をする。すでに設計した回路とまったく同じ回路であればそのままコピーすればきちんと動作するので計算は必要なくなる。ところがMYプロダクツのように全てのアンプがオーダーメイドになるとまったく同じアンプを造ることはなくすべて新規設計となり、同じ構成のアンプであっても電圧やゲインなど異なれば定数もまた計算し直しとなる。計算といってもそれ程大げさでなく四則演算程度で誰でもできる簡単な計算だ。
  現在新しい回路を2つ設計している。一つはバランス型のパワーアンプ、もうひとつはSEPP出力を持つイコライザーアンプである。この場合私にとってはまったく新規の回路となっているから、動作原理から式をつくりそこで回路の定数を決めるために計算をしている。

 まずは計算式をたてることからやらなくてはならない。これが間違ってしまうと当然すべての計算が狂うので熟慮しなければならないのだが、それでも実際と間違うこともある。しかしそれでも自分で式をたてることにこだわって設計している。今はSPICEという非常に優れた回路シミュレーターソフトがあるようだが、私は使っていない。これを使用すれば正確で早く結果が出ると思うのだが、それでは回路の中身を本当に理解しないで設計しているように感じられ、私の性格からか納得できない。間違ってもいいから自分で式をたてて仮説でいいから計算する。あとで測定するので計算結果と実際の動作の比較ができるから式の間違いをみつけることができるから問題ない。頭のなかのシミュレーションと実際とを比較したいからこのようにしている。計算式をたてたらEXCELで実際の数値を入れどんな特性になるかを計算させている。これは大変ためになるやり方だ。急がば回れのやり方である。計算結果より計算過程の方が重要だからだ。別に計算と実際が完全に一致する必要はない。だいたい合えばよい。真空管定数などはいろいろ変化するから固定値で計算してもそれほど意味のあるものではない。でも動作原理だけはきちんと理解したいという願望からきている。

 上の例ではひとつは「バランス入力における音量調整ボリューム位置とゲイン特性について」で二つ目は「SEPP出力のカソード帰還方式(打消し回路)の条件について」である。私にとっては新しい回路なので回路を理解するためと定数を算出するために計算をしている。果たしてこれらの計算式は合っているのだろうか。


 
<デフレの正体> 
 2011年3月1日 

藻谷浩介(もたにこうすけ)著<デフレの正体>を読んだ。近くの本屋さんに少し多めに積み上げてあり、面白そうなタイトルだから読んでみた。これが実に面白い内容だった。
 現在の日本経済についてたくさんのデータに基づいて丁寧に説明してある。現在の日本の経済が何故不況なのか、なぜデフレと言われているのかを面白い切り口で説明している。日本経済は貿易収支は黒字なのだが国内経済がまったく振るわない。失われた10年と呼ばれ、不景気が長く続いている。これらの原因はどこから来るのかを丁寧に解説している。

 結論から言えば、「日本の不況の原因は需要の元となる生産年齢人口(15歳〜65歳)=現役世代の数が減少していることがすべての元となっている。」ということになっている。この結論を導くためにたくさんのデータが示され、地方、首都圏、関西圏などの生産年齢人口、老年人口、個人所得、販売額などの推移がデータで示され、これらの間の関係が明確に示されている。「経済を動かしているのは、景気の波でなく人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ」ということらしい。
 詳しい説明は興味ある方は本を読んでいただくとして、私がちょっとひっかかった面白い件(くだり)がある。「いろいろな方(政治家、評論家、経済学者など)が得体の知れない空気だけで論じている。その空気というのは、数字を読まない(SY)、現場を見ない(GM)、空気しか読まない(KY)人たちが、確認もしないで言い合っているということである。」というどこかの世界にも当てはまることを指摘されていた。これも大変おもしろい指摘だ。真空管オーディオの世界にも似たようなことが多くある。何々真空管の音が良い、無帰還アンプが良い、など巷ではいろいろ話題がある。しかしプロはその言葉をそのまま信じるのではなく、その要因は何処にあるのか、そのデータはあるのかなど空気だけで判断せず、確認することが重要だ。この点からもこの著者の論旨の導き方に共感を覚えた。
 この本を読んでから、ニュースなどの経済の話題について理解が深まるようになったように感ずる。多くの現象が同じ原因から発生しているように思えるようになったからだ。

 私には結構面白いと思えた本なのだが、どうも菅総理もこの本を読んでいるらしくどう思えたのだろうか。この本によれば、日本の景気を永続的に良くするには、日本の人口構成を変えてもっと若い人を多くしていかなければならない。ただすでに高齢化が進んでいる現在では、お年寄りが持っている資産を、お金を必要とする現役世代に移行させる政策が必要となるらしい。
 また、資産を持っている高齢者には希少性の高い物が売れるそうだ。そういう意味ではMYプロダクツの製品は今の世の中にマッチしていると思うのだが、実際はそれ程上手くいっていないのは私の力が足りないからか。


 
 <アクセス>
 2011年2月21日 
 MYプロダクツのサイトを昨年書き直ししてからというもの、いくらかアクセス数が以前より増えてきたような気がする。アクセスカウンターを見ていて直感的にそう思うのであってきちんとしたデータがあっての話ではない。でもこのようなサイトを読んでいただけてありがたく思う。まだ累計で2万アクセスに達してなく今年やっと2万アクセスいけるかどうかというところだ。最近知ったのだが、かつて同じ開発部署で働いていた後輩の個人のサイトは何と2000万アクセスにも届いているのを知りびっくりしてしまった。彼は昔から個人的にロボットを作っていて、有名人であるらしくこの世界では<師匠>と呼ばれ、以前にはTVにも出演したことがあった。2000万アクセスとは私には∞に近い数値のように思えるのだが。
 
 昨年のサイトの更新の際、グーグルのサービスを利用して皆様の検索の様子を知ることが出来るようになった。当然誰がアクセスしているかは分からないが、どのページに皆様が検索しアクセスしているかが分かるようになっている。それによると、アクセス上位に入るのがほとんど店主コラムのページで<Engineering Report>と呼んでいるページである。だから私のサイトを見る際にはこれらの技術レポート類に多くのアクセスが集中しているようだ。MYプロダクツのサイトを読む方はエンジニア系とか趣味で真空管アンプを作る人とかアンプの中身に興味を持っている人が多いように思える。私としてはご自分で造らずに私に造って欲しい人に読んでいただいて注文をしていただくのが最良なのだが、実際には以外と(失礼)自作する方が多いのかもしれない。これは半分冗談の話だが、技術の話題というのが、このような趣味性の強い製品を造るには必要なのだということが分かっただけでも収穫だ。だったらもっと技術の話題やレポートを書けと言われそうだが、そう簡単に新しい技術の話題を書くことはできない。そんなにいつも新しい話題はそう簡単にはみつからないし、こちらにも能力がない。私としてもなるべく新しいとか普段あまり知られていない話題・技術を書くように務めている。雑誌などでは真空管アンプの話題はいつも同じでつまらないし、何か視点を変えて話題を提供しようと努めている。

 サイトの内容の良し悪しは私には分からないが、皆さんに読んでいただけるのには大変感謝しています。


 
 <’11手前味噌>
 2011年2月11日 

 先日今年の味噌を仕込んだ。もう20年も味噌作りをしていて、この時期に仕込む。今年は何と7.5Kgも仕込んだ。これで食べるのは夏過ぎからになる。それまでじっと熟成されるのを待つ。何故そんなに毎年味噌を作るのかと聞かれたらそれはただ美味しいからだ。自家製味噌の美味しさは市販の味噌では味わえない。今年は2軒分の味噌だが昨年より多く仕込んだ。
 出来上がりの味噌の味はまったく自然任せで毎年味が違う。そこが良いところで毎年いろいろな味を楽しめる。昨年作った味噌は今食べているが、これは例年の味噌より甘みが多くて美味しい。年により塩が効いているときもある。

 味噌造りはちょっと手間がかかるけれど内容は簡単だ。前日より大豆を水に漬けておく。それをじっくり炊いて指でつぶれるくらいにする。それを今はフードカッターで細かくしてからすりこぎできれいにつぶし、予め塩と麹をまぜた中に先ほどの大豆のすり潰した物を混ぜると味噌の出来上がりになる。これを容器に詰めてじっくり寝かせれば美味しい味噌の出来上がりとなる。材料は3つしかなく、調理も混ぜるだけで、あとは自然任せの料理なのだが、不思議にも味は毎年変わる。昨年作った味噌が美味しい理由は恐らく塩を変えた為と推測している。例年より少し高級の塩を使ってみたのだが、出来上がりはしょっぱくなくむしろ甘い味噌に仕上がった。ここが不思議で楽しいところ。塩の量は変えられない。それは塩を減らすとカビが増えてしまうので毎年塩の量は変えられない。塩を多くするとそれはしょっぱい味噌ができてしまい、これもまずいものになってしまう。春、夏の気温も影響しているかもしれないが、この変化が市販の味噌では味わえないので楽しい。


 昨年秋より我が家では朝食のメニューを変えた。これまでのコーヒーとパンの朝食から、ご飯、納豆、味噌汁、日本茶の朝食に変えた。理由は健康のためだ。コーヒーが健康に悪いということではない。朝のパンがどうしても甘いパンに偏ってきたのでこの際大豆中心の朝食に変更したかったからだ。だから味噌汁の消費量が一気に増え、そのため今年の味噌作りも増えたという次第。

朝の日本茶も美味しい。(朝のコーヒーも美味しいが)先日TVで静岡県掛川市の住民の方はお年寄りが健康で、その理由が名産のお茶にあったという放送をしていた。日本茶の効用もあるらしい。そんな訳で10年以上購入していたアステカのコーヒー豆も最近はご無沙汰になってしまった。マスターには申し訳ないので時々コーヒーを飲みに行くようにしようと思っている。

 
<レポート提出> 
 2011年2月1日 

昨年から書かなくてはと思っていたレポートがやっと書き終えた。それ程中身の濃いレポートではないが、自分の中では整理を付けたい気持ちがあり、やっとそれが終えた気分になっている。

今回のレポートは以前のコラムでも述べているように<電源インピーダンスの測定>だ。実験で一番確かめておきたかったことは、電源の重要性は分かっていてもそれを確かめることをせずにこれまで設計していて、今回の実験で聴感での音の差をデータによりはっきりさせておきたかったことだ。いくら音が良いといってもそれを裏付ける説得力のあるデータがやはり欲しい。今回それが確かめられたことは大きな収穫だった。
 この実験で一番難しかったところは、真空管アンプで扱う電源電圧が高く(400V以上)この直流電圧に重畳している微小交流電圧をどう測定するかにあった。測定データは完璧ではないが、それでも電源の性能を知ることができ、これまで暗黙で思っていた性能をより確実なものにすることができた。

これまでの経験から、アンプにおける電源の重要性は感じている。アンプを作ったことのある人ならほとんど感ずるだろう。でもそれをデータで確かめた人は以外と少ないのではないのだろうか。今回の実験でも電源性能と音質との相関は確かめられたが、細かく言えば、なぜ電源の性能が音質に影響しているのかというのは分かっていない部分もある。音の面から言えばリップルフィルター採用により明らかに低域の改善が見られるのは納得できるとしても、電源の改善により臨場感が増す、各楽器の音像が改善され位置がはっきりする、奥行き感も良くなり前の音と後ろの音が分かり易くなる、など何故電源の改良で音がこのように聴こえるかは分かってなく、まだ分からないことは多い。

人間の感覚をデータで捕らえることは難しい。しかしその理屈は分からないまでも、聴いていて心地好いアンプが出来ることは楽しいことだ。MYプロダクツの理想である<聴き心地の良いアンプ>にまた一歩近づいた。

コラムのEngineering Reportに追加しましたのでご覧下さい。

 
 <電源改良>
2011年1月21日 

前回今年の目標を書いた。目標と言ってもそれほど大げさなものではなく、自分が「やってみたいな」と思うことを目標と言っているだけで、サラリーマンの自己申告の目標にも程遠いものである。サラリーマンの自己申告の目標はまさにサラリーに影響するものだから、慎重に選ぶものだが私の場合はまあ適当な実験目標みたいなものだ。
 そんな目標だが前回挙げたなかの2番目「我が家のアンプの電源回路を改造して音を確認すること」ができた。パワーアンプの実験機になっている6550ppアンプの電源(整流回路)をチョークトランスのパイ型フィルターから半導体を使ったリップルフィルターに変更することだ。昨年には電圧増幅段の定電圧電源の改良は済んでいたのだが、今年になって電源(整流回路)を改良した。これまでお客さま向けアンプの電源回路は最近ほとんど半導体によるリップルフィルターを使用している。これらのアンプは性能も出るし、また音も私の好みの方向になっていて。特に低音の出方がチョークトランスのアンプより断然良いと思っていた。ただこの音の傾向というのは独りよがりのものであった。それは電源回路の性能を測っていなかったからのだが、それが昨年電源インピーダンスが測れるようになって、電源の性能を数値で測れるようになってきてより客観的に判断できるようになってきた。そこで自分のアンプを改造して電源の性能と音との関係を比較確認してみようというのが今回の主旨だ。

 結論からいうと今回の改良はすばらしい。性能面から見ると、チョークトランスを使った電源回路のインピーダンスというのはチョークの後に繋がるコンデンサーの容量そのもので、このコンデンサーを大きくしない限り電源インピーダンスは下がらないことが確かめられた。電源トランスは直流分だけはアンプに貢献するが、交流分はほとんどこのコンデンサーの容量で決まっている。だから100Hz以下の電源インピーダンスを下げるには大容量のコンデンサーが必要となり、特に真空管アンプのような高電圧(500V)のコンデンサーではなかなか見つからない。しかし半導体リップルフィルターを使うと一変する。低域のインピーダンスが1/20〜100以下に下がる。

 紙面がないからこれで内容の説明は省略するが、音もすばらしい。低域がボンボン出てくるのではなく、柔らかく自然な感じになる。音の広がりも増加する。音は柔らかく個々の楽器が良く聴こえる。あまり言うとこれこそ一人よがりな意見になってしまうのでこれもここらで止めることにしよう。
 これだけ音に電源の影響があるならと思ったらまたアイデアが出てきた。

 
<’11新年に思うこと> 
 2011年1月11日 

 2011年も明けいつもこの時期今年は何をしようと考える。会社で言えば今年度の事業計画みたいなものだ。サラリーマン時代は会計年度末には次年度の事業計画作りをさせられた。この時期はすでに提出済みになっていなければならない時期だが。
 一人で事業しているとのんびりしたもので、事業計画などない。行き当たりばったりの経営だ。経営目標もなく依頼がきたらもくもくと設計するだけ。こんな方針ではいけないだろうが、マイペースで仕事はしたい。ただ技術に関してはいつもいろいろ考えているのでそれなりに確かめてみたいとか、実験したいとか、作って音を確認してみたいとかいろいろある。そんな内容のことを新年の目標にしている。お気楽な事業計画だ。

昨年から技術的にやってみたくても残している作業がいくつかある。今年はそれらを片付けていくしかない。それらをまとめてみると、
 1、電源インピーダンスの測定データをまとめること
 2、我が家のアンプの電源回路を改造して音を確認すること
 3、イコライザーアンプの製作
 4、半導体スイッチを使った音量調節器の実験
など、昨年から思っていても手を付けていないことがいくつか残っている。

1と2は同時進行で行う。すでに2は作業を始めており電源インピーダンスのデータと音との関係を少しでもクリアーにしたいところである。この作業は何とかできそうだが、結果が上手く出るかは別問題だ。
 3はある方からLPレコードをいただけそうなので新しくイコライザーアンプを設計してみたくなった。大体の構想はできているのだが、細部は未定。
 4は私が最近設計するラインアンプはゲイン可変型だが、これはアンプ回路と音量調整ボリュームをなるべく近くに配置したい。この距離を縮めるために半導体スイッチを使用してボリュームを構成できないかを検討している。特にこれはバランス型のラインアンプを設計する時に威力を発揮すると考えていて、これもいつかはやらなければならないと思うのだが、1チップマイコンのプログラミングが必要なので時間がかかりそうだ。

こんなことをやってみたいなあと思っている。もちろん設計依頼が増えるような営業活動も重要なのだが、根がエンジニアなのでどうしても技術に目がいってしまう。これではいつまでも成長しないアンプ屋さんでしかないかもしれない。

 
<’11明けましておめでとうございます> 
 2011年1月1日 
  新年明けましておめでとうございます。
 今年も宜しくお願いいたします。

今年は何をしようか考えています。昨年からの宿題が何も手を付けていない状況で、何をするかという選択する余地はないのですが、これから少し整理して手をつけていこうと思っています。
今は正月気分に浸り、後で考えます。

今年もこのコラム宜しくお願いします。

右のCGは私の甥に描いてもらったものです。
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