オーダーメイド手造り真空管アンプの店

 
 
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 <インシュレーターについて>
 2016年9月21日 

スピーカーのインシュレーターについてはこれまでそれほど気にかけることはなかった。スピーカースタンドにスパイクを掃かせ、その下にはキズよけの木製のインシュレーターを置き、その下には絨毯、フローリングという構成だった。アンプ回路についてはいろいろ考えるが、スピーカーの置き方についてはまったくといっていいほど考慮していなかった。これが間違いだったと分かったのはこの数か月のことだ。
 この問題を知るきっかけになったのは、スピーカースタンドを木製インシュレーターや絨毯を通さずにフローリング板の上に保護板を置いてその上にスパイクのまま直接置いてみたときだった。スタンドはスパイクを通して直接床に置くと低音が少し豊かになり、また音もすっきりした感じになった。
 その後スピーカーの配置を変更したため、これまで使用していたスピーカースタンドが使用できなくなり、スピーカーを直接板台の上に置かなくてはならなくなった。それでまたインシュレーターについて考えことになった。
 結論から言うと、スピーカーはスパイクをはかせ金属のインシュレーターで受けるのがもっとも良いという結論だった。その効果は

・低音の振幅が少し上がり低音量が増える。
 ・過渡特性が良くなり、音のにじみが少なくなり、音がすっきりする。
 というものだった。
 この現象についてはスピーカーのコーン紙が動くとその反作用でスピーカー自身が振動していてコーン紙の振幅を弱め、これは柔らかい物の上に置いてあるとこの影響が大きく、また過渡振動も大きくなりコーン紙が正確に動くことを妨げていると考えている。だからこれまで絨毯の上にスピーカーを置いてあるのは振動量、過渡特性に悪影響を与えていると言える。
 金属インシュレーターの使用についてはTAOCの説明によるものだが、僕の実験では木製に比べても圧倒的に過渡特性が良くなり、音のにじみが少なくなる。スパイクと高硬度のインシュレーターの組み合わせは適度な振動減衰特性が得られるようで、適度に振動を制御してくれている。

インシュレーターから得られた結論は
 スピーカーの振動は低音量と音の歯切れに影響する。
 インシュレーターにより振動が制御されると低音量が増え、音のにじみが減少する。
 インシュレーターは高硬度な材料の方が効果は大きい。

もし低音は出ているが音が滲むとか歯切れが悪いと感じたらスピーカーの振動を疑ってみると良い。


 
 <スピーカーの配置について>
 2016年9月11日 

僕が最初に行った変更は試聴位置とスピーカーの位置の変更だった。頭を動かすと低音が変化する。同様にスピーカーの位置を動かしても変化する。今回分かったことはすでにルームアコスティック理論で述べられているように、

低域の周波数特性は部屋とスピーカーの配置で決まる。
 ということが実感できた。

周波数特性と書いたのはスピーカーの位置の変更で変化するのはあくまで低域の音量すなわち振幅である。低音の質そのものではなく音量(振幅)だけが変化する。
 いろんなところでも書かれているように低音の量は部屋とスピーカーの位置で決まってしまうようだ。ただ私のようにオーディオルームを持てない人は部屋の変更は出来ないのでスピーカーの位置を変更して低音を改善しなければならない。オーディオルームというと残響特性という話も出てくるが、今回それは実験していないので除外している。
 僕の場合もそうだったが低音が足りないと感じたらスピーカーの配置を変えてみるのが一番良い。というかもしスピーカー、アンプがそれなりのものを使用していたなら解決方法はそれしかない。アンプを変えても低音量を増やすことはできない。(アンプなどに極端な性能の差がなければの話であるが)アンプを変える前にスピーカーの位置を変更して実験したほうが良い。実際部屋の定在波の影響は非常に大きく、定在波の腹の部分では低音は大きく、節のところでは小さく聞こえる。スピーカーにしても試聴位置にしても30cm程度の変化で低音量は大分変化することが分かった。
 この実験で得られたことは低音の音量は部屋の定在波の影響が非常に大きく影響している。これまで低音が出ないと思っていたがその原因は部屋の定在波にあったことが明確になったことだ。またここで得られた定在波により影響する低音というのは低音量(レベル)のことであって、後で述べる低音の質の問題ではないことである。
 この実験ではアンプからの信号はまったく変わらないのにスピーカーの位置で低音量が変わるということだ。だからこれはシステム的には何も変更ないのに部屋の音響特性が変わったということになる。

低音の音量が足りないと感じたらアンプを替える前にはスピーカーの配置を変えろ。
 これが感応試験で得られたスピーカーの配置についての最初の結論だった。
 *注釈
 今回の実験は部屋がデッドで低音が足りないときの話で、低音過多でフラッタ―がある時は定在波の削減も考えなければならないと思う。


 
 <総括>
 2016年9月1日 

この数か月我が家のスピーカーを中心としたオーディオシステムの変更についてはほぼ一区切りがついた感じだ。これ以上変更するアイデアが出て来ないのでいったん終了することにした。これらの変更での音の変化について今備忘録としてまとめておこうという気になった。コラムを借りて整理してみた。

人間の聴能力はすごい。音はオシロでみるとただの一本の信号にすぎないが、これがスピーカーから流れると会話や音楽として理解してしまう。信号の大きさ、高さの判別はもちろん特にすごいのは複雑が音楽信号なのにその中の人間の声、ピアノの音、バイオリンの音などを別々に聞き取りさらに楽器のハーモニーとしても理解してしまう。同じ管楽器にしてもホルン、トランペット、トロンボーンの音も簡単に聞き分けてしまう。もっとすごいのは同じピアノでもメーカーによってわずかな音の違いも検出してしまうという。こんな能力はどうして得られたのだろう。オシロで見たらどれだけ波形の差があるのだろうか。音の大きさに対するダイナミックレンジもかなり広いし、音程にしても僅かな音に高低も検出してしまう。わずかな部屋の響きや楽器のビブラートも感知することができる。かように耳の能力は機械で測定するのと違い、音の違いを機械では検出できない楽器の音色の違いとか僅かなノイズとか様々な人の感性による差として聞き分けているので物理的な変化と音の印象との相関が付けづらいものだ。
 今回行った感応試験と実際のオーディオシステムの物理的な変化の関係を今回の実験で少しは整理することができたのでまとめてみたいと思った。

どこまで整理できるかは分からないが数回に分けて書いてみる。とくに低域の変化についての相関が少し分かりかけたのでそれを中心にまとめてみたい。


 
 <今年のブルーベリー>
 2016年8厚21日 

しばらくオーディオの話題が続いたので今回はブルーベリーの話題に。
 一昨年ブルーベリーを2鉢購入し少しお金をかけて育てている。ブルーベリーを育てる目的はもちろん食べるためなのだが、そのためにいろいろ手を掛ける必要が生じてそれが少々割高になっているのである。鉢を大きいのに変えたり、鳥よけネットを付けたり、冬の寒さ対策をしたり2鉢で数万円にもなってしまって一粒の単価が高いブルーベリーを育てている。だから今年こそはたくさんの実がなるようにとまたいろいろと世話をかけているのだが、今年の結果が出てきた。
 今年は5月ころからブルーベリーの実が付いてきた。ネットで調べてみるとブルーベリーは水やりが大切だということが書いてある。だから今年は毎日水やりをすることにした。だいたい1鉢に2L程度の水を毎日与えた。そのためか今年は昨年より多くの実が育ってきた。昨年は毎日水やりをしなかったため、実が生育する途中で落ちてしまうことが多く見られたが今年はそれが無く、昨年より多くの実が順調に育ってくれた。6月になると実がしだいに黒付いてきてそれらしくなったと思ったら、朝時々実が鳥に食べられているのを発見した。美味しい実だけを食べている。こちらが一生けん命育てているのを鳥たちに横取りされているみたいだ。そこで今年もネットをかぶせることにした。やはり鳥よけネットは必要のようだ。ある朝女房が気が付くとスズメが騒いでいた。そうしたらスズメがこの鳥ネットの中でもがいていたらしい。人のものを横取りする鳥だがもちろん逃がしてあげたそうだ。その後ネットの隙間もきちんと整えて鳥が入らないようにした。ただこうすると水やりに少し手間がかかるようになる。水やりの度にネットを持ち上げながらジョウロで水を注がなければならずちょっと大変なのだ。このときあまりゆっくりしているとすぐに蚊に食われるからすばやく作業をすすめなければならない。また風が強い日にはこのネットが倒れて鉢も倒してしまうのでそれも注意しなければならない。かようにブルーベリーを食べるためにはいろいろ作業が必要なのだ。
 さて今年の収穫量だが去年の倍の約600粒のブルーベリーが実ってくれた。ブルーベリーの収穫はなるべく木についたまま完熟させた方がよいそうだ。実を摘んだ後はもう熟成しないらしい。だから収穫はだいたい1週間に一度程度で行った。味は近くのスーパーのブルーベリーと変わらなかった。ヨーグルトと混ぜたり、アイスクリームのトッピングとして使ったり結構楽しめた。近くのスーパーでの国内産のブルーベリーは50粒程度で500円位する。その意味ではだんだん投資のリターン(ROI)は良くなってきている。
 今はもう実も少なくなってきて、夏の終わりには少し剪定をしてまた来年の成長に期待をしたいと思っている。


 
 <パワーアンプ改造2>
 2016年8月11日 

またパワーアンプを改造した。このところ自分のオーディオ装置の改造が続いていてさらにパワーアンプを改造した。最初はパワーアンプを新規に作ることも考えたが、その手間も考え今のアンプの改造で済ませることにした。前前回6550ppパワーアンプをバランスアンプに改造したとこのコラムで書いたが、今回はこのアンプの初段をカスコード接続に変更して高域特性の改善を試みた。これまで初段は12AX7の差動増幅で抵抗負荷であって、初段のゲインを上げるべくこの負荷抵抗が高くしてあったのだが、最近ラインケーブルを7mと長くしたのでパワーアンプの入力容量を少しでも少なくして高域特性を良くしようと改善を試みた。初段で大きなゲインを得る場合ノイズの点では有利であるが、初段が三極管の場合ミラー容量が大きくなって入力容量が増えてしまう懸念があった。そこでここを改善した訳である。
 初段のカスコード接続はすでにお客様のアンプでは実施済みでさほど目新しい回路ではない。カスコードの素子は半導体を使用した。また初段の真空管も12AT7に変更した。理由はGmを大きくしたかったからである。今日やっと両チャンネルの変更が終わりざっと特性も調べた。良い特性が出ていた。今回変更した初段がカスコード接続の非反転バランスアンプは大変安定した特性が取れる。正確な理由はまだ分からないが推測するに、初段は負帰還増幅の比較器になっているが、この比較器は入力信号、NF信号とも位相があまり回らずに比較増幅されるためではないかと推測している。位相補正が少なくても安定していて良い特性が取りやすい。動作が安定しているからきっと音の良いアンプに違いない。これを書いている時はまだこの改造アンプの音は聴いていない。入力信号はグリッド、NF信号はカソードに入力されるが、グリッド・カソード間の非直線性はバランス増幅にするとキャンセルされて見えにくくなっている。さらにミラー容量も少ないから入力信号の位相も回りにくい形になっているのが要因だろ推測している。特性のそろった双三極管と特性のそろったペアーの出力管が揃うと良い特性が示されて。1W以下では0.01%を切る歪特性を示している。回路そのものは良いようで、真空管のバラツキさえ押さえれば良い特性が得られそうだ。
 本来このアンプは新規設計にして、さらにドライバー段(出力段の前)をCSPPという回路を試してみようを思っていたのだが、そこまでする前に何とか現状の少しの変更で実験してみたかったのである。多分この回路はしばらく改造をしないだろう。
 バランス型パワーアンプはスピーカーとの相性が良いと感じている。スピーカー両端の電圧とバランス入力電圧を比較して増幅しているから、アンプのグランドの影響を受けないで正確にスピーカーが動作しているように感ずる。

バランス増幅はスピーカーにもアンプ自身にも良い結果を与えてくれる回路方式と思っている。


 
 <パワーアンプの配置>
 2016年8月1日 

このところ我が家のオーディオが進化している。今回はパワーアンプの配置を変えた話。 前回バランス型パワーアンプへの改良が済んだ話を述べた。今回はさらにパワーアンプの位置を変更してみた。以前スピーカーケーブルは短い方が良かったという経験からいつかまた同じ実験をしてみたいと思っていた。そんなことは簡単ではないかと思われるかもしれないが、実際そのような配線をするには使い勝手や部屋の整理など問題も生じこれは私一人で決められる問題ではなくなる。今回フルバランス装置が出来上がったのでアンプの置き場所の自由度が増し、パワーアンプだけをスピーカーの近くに配置することができるようになった。この配置で音がどう変化するかをまずは確かめてみたくなった。
 これまではラインアンプとパワーアンプは約1.5mのケーブル、パワーアンプとスピーカーは約8mのケーブルで結ばれていた。それを今度はライン・パワー間を7mのXLRケーブルでパワー・スピーカーを2mのケーブルで結んでみようと計画した。スピーカーケーブルをだいたい1/4にしてみようという試みだ。スピーカーケーブルには大電流が流れるからレジスタンス、インダクタンスなどの影響が出やすくなるのでケーブルは短いほうが良いと考えていた。しかしライン・パワー間は逆に4倍ほど長くなるが、小電力だし今回バランス伝送ができるようになったので影響は少なくて済むと踏んでいた。
 XLRケーブルは自作した。バランスケーブルはトモカの2芯シールド線、XLRコネクターはノイトリック製だ。スピーカーケーブルはとりあえず家にある昔使ったそれ程高くないが一応スピーカー専用ケーブルを2mに切って使用した。バイワイヤリングだから4本使用することになる。
 まずは繋いで試聴してみる。期待したほど音が明瞭に出てこない。ここから試行錯誤で原因を探っていく。しかし簡単に原因が見つかった。それは電源ケーブルであった。パワーアンプの位置が変わったからパワーアンプの電源供給も変わってしまった。これまでの電源ケーブルでは電源コンセントまで届かない。そこで家にある普通の延長テーブルタップを使用したのが良くなかった。これもスピーカーケーブルと同じく容量が必要だ。そこで別の近くの電源コンセントから1m程度の短い電源延長コードでパワーアンプに電源を供給してみた。そうしたら音がかなり改善され実験としては十分満足できる変化が得られた。

今回のたくさんの変更により音楽がより細密に鑑賞できるように感じられる。オーケストラでも各楽器の音が以前より聞こえるようになってきた。だから音楽が楽しくなってきている。静けさとエネルギー感が同時に再現されるからダイナミックレンジが非常に広くなった。スピーカーケーブルは短いほうが反応が速いように感じられた。

 我が家の装置の変更はまだ続く予定だ。バランス型パワーアンプももう少し性能を上げたいし、スピーカーケーブル、電源ケーブルも変更したい。これから徐々にトライしてみようと思っている。まだ楽しみは続く。


 
 <パワーアンプ改造>
 2016年7月21日 

前回のコラムでパワーアンプのバランス化改造を始めたと書いたがそれが完成した。これまでお客様用にはバランス型パワーアンプを設計してきたが自分用には改造してこなかった。特に理由はないがEQアンプやラインアンプのバランスアンプからシステムを揃えたいという気持ちからなかなかパワーアンプまで時間が取れなかったからだ。今回スピーカーの配置や振動の実験をしていて、パワーアンプのスピーカーへの影響はどの程度あるのかということも再度確かめたいと思ったから改造してみることにした。
 6550ppパワーアンプのバランスアンプへの改造はそれほど難しくはなかった。それは改造アンプの基本設計が差動増幅2段、PP出力の構成になっているので入出力の負帰還回路の変更だけで、基本となる増幅系回路の変更はまったくする必要がないからだ。負帰還は非反転型とした。これまで反転型と非反転型と設計してみたが非反転型の方がノイズなどの点で有利と考えられるからだ。今回の改造で一番苦労したのがRCAピンジャックをXLRのコネクターに変更することだった。すでに部品がついているシャーシーの後加工をしなければならず穴あけ作業をどうするか悩まされた。実際行ったことはRCAピンジャックの穴を利用してその穴の位置をヤスリでずらしそのあとシャーシーパンチで25φの穴をあけることにした。本来XLRコネクターの穴径は24φなのだが少々の穴径の違いは無視することにした。この方法でやったら後加工も30分程度の作業時間で穴加工ができまた出来も悪くなかったので安心した。お客様用だったらこうしたか分からないけれど、自分用だからそれほど体裁は気にしなくてよい。配線は2日もあれば済んだ。歪、f特、DFなどの電気特性はアンバランスの時と変わらない。ただ位相補正は前より楽になったようだ。これは帰還点の場所が変わったためアンバランスの時より位相が回らないようでより安定しているというメリットがうまれた。
 さて音質だがこれがまた素晴らしい。設計者の音質評価などはあてにならないので話半分で聞いてもらって結構だが、やはりアンプの違いでも音は大分変化することが今回確認できた。バランスアンプはアンバランスアンプよりより正確にスピーカーを制御している感じがする。良くドライブしていることが実感できる。小音量でも低域が痩せない。これでEQ、ライン、パワーとすべてのアンプがバランス増幅するシステムが出来上がった。今後はさらにこのパワーアンプの高域特性の改良をしてスピーカーの近くに配置し、スピーカーケーブルを短くしたその効果を確かめようと思っている。

この数か月スピーカーの配置、振動、パワーアンプの違いなどいくつかの実験をしてきたが低域についてはその影響が分かってきた。どの要素を変えても音は変わるが、どのように変わるかについてその傾向が何となく分かってきた。いつかその説明ができたらと思っている。


 
<インシュレーター> 
 2016年7月11日 

これまで<ルームアコスティック>というタイトルで我が家のスピーカー配置の変更をしてきてここで発表してきた。以前に比べて大分低域が出てきて自分ではかなり音質が向上しているとある程度満足してしばらく聴いてきた。ところがある時どうも中低域に濁りのような音が感じられるようになってきた。これはあくまでも僕の主観によるものだからうまく説明できないが、音が出てからの余韻だとか響きがきれいに出ていないように感じられた。この時たまたまスピーカーの下に敷く板のことを調べていた時でTAOC(アイシン高丘)のサイトを調べていた。その資料の中で「制振」とか「整振」とかいう言葉が出ていて、オーディオ機器の振動について振動を逃がしたりする一方音楽信号に対しては適度な減衰特性を持たせる必要があると述べられていた。彼らの研究ではアンプやスピーカーの下に敷くスパイクやその受け皿(スパイク用プレート)は比重が高いもの、硬度が高いもの、減衰特性が高いものが必要と書かれていた。僕が使っていたスパイクのプレートは木製であった。資料によれば木製は比重も硬度も減衰性もすべて悪いもので、インシュレーター用としてはまったく機能をはたしていないように感じられた。スピーカーの「制振」「整振」ができていないのではないか。それで余分な振動が発生しているのではないか。
 この時門扉のニス塗りの最中で忙しかったが、インシュレーターの実験をしてみることにした。以前いつもらったかは覚えていないがアンプ用にたぶん鋳鉄らしいインシュレーターを4個ほどもらっていた。これをスピーカーのスパイク受けの前2つだけをこの金属製に変えてみた。個数が4つしかないので前2つは金属、後ろ2つは木製という構成である。これで聴いてみたら音が見違えるくらいの効果が表れた。低域の出方が大分改善された。味で言うところの雑味がなくなって中低域が澄んできて、音の広がりも良くなった。これでインシュレーターの効果が確かめられたのでさらに後ろ2つの受け皿をTAOCの「PTS-G」という製品に取り換えた。もちろん効果が認められ一段と混じりの少ない音質になってきた。
 今回のスピーカーのさまざまな実験はオーディオの難しさを知るとともに、アンプ屋としてはオーディオにおけるアンプの貢献はどの程度あるのだろうかと考え込んでしまった。アンプによる変化よりもっと大きい変化が今回の実験で表れてしまった感じだ。
 アンプよりインシュレーターの方が音質に影響する?こんな疑問が湧いている。しかしこれまでお客様のアンプの出来具合で僕のアンプによって音が良くなったと言って下さるお客様がおられるから僕のアンプがまったく貢献してない訳ではないと思うのだが。

今回の実験でさらに音質を高めようとパワーアンプのバランス化の作業に入った。とりあえず現行アンプの改良でバランスアンプに変更し、EQ、ライン、パワーとすべてバランスアンプになる。まさにこれがフルバランスなのかもしれないが。


 
 <塗装続き>
 2016年7月1日 

我が家の門扉の塗装、ひととおりの作業をしてみたが出来が良くなかったのでやり直すことにした。失敗した原因はニス塗装前の下地処理が十分でなかったことは前回述べたとおり。今回はその後どうしたかをお話しする。
 ホームセンターで塗装道具を調べていたら木部用剥離剤というものがありこれを購入。<アサヒペン 塗料はがし液>という界面活性剤でこれを使うことにした。さらに漂白剤も変えてみた。最初に使ったのは<リンレイ 白木漂白セット>というもの。これは過酸化水素水を成分とした酸素系と言われるもの。風呂のカビ取りにも酸素系と塩素系があるように木部漂白剤にも酸素系と塩素系がある。酸素系は木部を傷めずに安全に使えるようで、素人には使い易いらしい。前回効果が薄かったと感じたのでメーカーを変えてみた。新しい漂白剤は<アサヒペン 白木漂白クリーナースーパー>でこれも酸素系。ネットでの評判を読んでいたらこちらのほうが評判が良さそうだったからだ。
 作業は前回より丁寧に行う。やすり掛けの後塗装はがしの作業を行う。これははがし液を塗ったあと金ヘラで木部に残っている古い塗装をこそげ落とす。はがし液を塗ると古い塗料が浮き出てくるからそれをヘラで取り除いていく。これも案外力作業で作業後右手が軽い腱鞘炎になってしまった。塗装はがし後は濡れぞうきんで丁寧に拭き取らなくてはいけない。これもやすり掛けと同様力仕事でかなりの作業量だった。しかし結果は大分木肌がきれいになった。最初より大分良くなった。次はまた漂白に入る。今回メーカーは異なるが作業内容は同じで、まず漂白剤を塗りすぐにブラシで表面をこすり木肌にしみこませていく。一度乾いたぞうきんでこれを拭いてから、さらに2度目の漂白を実施し、これは10分程度待ってからもう一度拭き取るという作業となる。漂白剤は2液を混ぜるタイプで漂白の効果時間が限られているから、なるべく早い時間で作業を済ませなければならない。だから2液を混ぜる量を少なくして直ぐに使い切るようにした。だから何度も2液を混ぜ、塗り、ブラシ掛け、拭き取りという作業を続けていく。これもどの程度の時間がかかったかは覚えていない。もうこの時はただ無心で作業していた。結果は大分木部が白くなったが、商品の宣伝にあるような白さには到底なっていない。ここで少し表面をやすり掛けしてみようと考えた。240番の紙やすりで表面を軽くやすり表面についている汚れをおとしてみた。でもまだ満足できなかった。
 そこで今度は塩素系の漂白剤を使用してみることにした。商品は<ニッペ ホワイティW>というもの。これは1液系でブラシはいらないらしい。塗ってしばらくしてから拭き取るという作業になった。結果はまだ十分ではないがもうあきらめた。もう僕の能力ではこれ以上は難しい。
 その後1回目のニス、更に濃いめの2度目のニス塗りをして作業は終了とした。作業を始めて約ひと月の時間が経過していた。毎日ではないけれど雨で無い日を選んでかなりやったつもりだが、満足度は70%位の出来だった。



 
 
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